Future Store “NOW”
第2回推進協議会
開催レポート
「Future Store “NOW”第2回推進協議会(以下、推進協議会)」が、2024年4月5日(金)にエッサム神田ホール(東京都千代田区)で開催されました。「Future Store “NOW”」は、活気あふれる人や街づくりのサポートに重要な「スーパーマーケットの未来」を、小売業様とソリューション企業が議論、研究し、展示会やウェブを通じて情報提供するプロジェクトです。推進協議会は「コミュニティ」の活動を具現化する場として、2024年1月に開催されました。今回は、地域貢献・地域活性化をテーマに、小売業様が今後どのような取り組みを進めていけば良いのか、他業種の事例紹介も交えながら活発な議論が交わされました。こちらの記事では、講演やディスカッションの様子をレポートします。
※本レポートの内容は推進協議会実施時点の情報であり、各登壇者コメントの著作権は各社に帰属いたします。
~ご挨拶・アジェンダ説明~
第2回目となる推進協議会は、一般社団法人全国スーパーマーケット協会の事業部 次長・富張哲一朗の挨拶ではじまりました。冒頭、2024年2月14日(水)~16日(金)に千葉市・幕張メッセで開催された「第58回スーパーマーケット・トレードショー2024(SMTS)」に約7万5000人の参加があった実績に触れ、感謝の意を述べました。富張は、「SMTSの来場者の関心度を分析したところ、多くの地方を地盤としたスーパーマーケット企業は差別化を目的とした地方産品を注視する一方で、デジタル技術を用い小売業の課題へのソリューション展示をするブースにも関心を示しています。商品やサービスだけでなく、さまざまな視点で展示会を捉える小売業者の多様性を感じました」と語りました。
また、今回の推進協議会について、「地域や社会とのつながりを深めるために、情報を共有または発信をしていくことが重要。地域のスーパーマーケットの存在価値を高め、外部に情報を発信していくことが目標なので、皆様のご意見をお聞きして、より良い方向に進んでいけるよう努めたいです」と意欲をみせました。
Future Store “NOW”事務局・三田裕道(博報堂プロダクツ)は、推進協議会の目的を「地域貢献と地域活性化をテーマに、これから小売業様はどのような取り組みをすればよいか、他の業種や既存の小売業の事例をもとに議論すること」とし、主なアジェンダについて「株式会社三百の望月様からは、他業種の事例から得られる地域活性化の取り組みのポイントをご紹介いただきます。東芝データ株式会社の香川様より、顧客データを活用した地域活性化の支援に関する情報をうかがいます。株式会社ラルズの樋口様からは、実際に取り組んでいる地域活性化事例について報告いただきます」と説明しました。
今回の推進協議会のアジェンダを改めて整理すると、「他業種および小売業の地域貢献と地域活性化の事例紹介」「地域活性化についてのディスカッション」「第1回推進協議会を受けた報告」の3点です。では、各登壇者の発表や意見交換の一部をご紹介していきます。
他業種事例から考える 地域活性化の取り組みのポイント
最初のプログラムは「他業種事例から考える 地域活性化の取り組みのポイント」をテーマに、マーケティングによる企業の問題解決に詳しい、株式会社三百の代表取締役・望月雅之氏が登壇。「変化動向把握の重要性」「地域における他業種の取り組み」を紹介しました。
他業種の取り組みから課題解決のヒントを得る
「現在、社会は急速に変化しており、予測不可能な状況です。小売業様に限らず、変化をどう捉え、変化にどう対応するかが、重要な経営課題です。その課題をクリアするにあたり、他業種からのヒントや気づきが役立つことがあります。なぜなら、脳科学的な観点から、普段と異なる外部の情報に目を向けることで、新たなアイデアがふっと思い浮かぶ可能性があるからです」(望月氏)
このプログラムを他業種からのヒントや気づきを得るきっかけにしてほしいと話す望月氏は、続けて他業種の実例を紹介。ここでは、その中から3つの事例をピックアップしました。
<分散型ホテルで温泉地を再生>
「山口県長門市にある俵山温泉はかつて多くの湯治客でにぎわい、昭和30年には旅館が44軒ありましたが、今は16軒に減少。そこで、温泉街をひとつのホテルに見立て、各旅館を各部屋に、多数の温泉に、飲食店を各食堂にする企画を実行。競合とも連携して地域活性化を目指した事例です」
<保育園の荷物徹底サポート>
「保育園では、必要な物(おむつ、布団、着替え等)は、保護者が用意し、保育士が個別に管理することが一般的です。保護者が用意することは結構大変なので、保育園がサブスクリプションの企業と提携することで、保護者は準備の手間が減り、保育士も管理の負担から解放され、利便性が格段に向上しました」
<SNSで ホテル再建>
「店長で東京都出身の若松瑠美さんが、沖縄県東村 3年前まで営業していたホテルを改装する際に、「100日間でリニューアルオープンする」企画として、地元の方など100人以上の協力を得ながら、改装の様子を動画で毎日配信。再建の裏側を動画で配信しながら、視聴者が投稿したコメントやアイデアを改装に役立てるなど、視聴者が参加したくなるような新たな試みが話題になりました」
これらのような外側の情報を、「未来のスーパー」を思考するヒントにしてほしいと望月氏は総括しました。会場からは「他業種の事例を聞いて、スーパーマーケット業界に身を置いていると、気づかない部分が多いことに気付いた。保育園の荷物徹底サポートなど、地域の子育て世帯に必要なサービスを提供することも重要だと感じる。まだまだ発想が足りない部分があるので、現実をしっかり捉えていく必要がある」など感想がありました。
顧客データを活用した地域活性化事例
次のテーマは「データの利活用による地域活性化」について、東芝データ株式会社の香川弘一氏が登壇しました。東芝データはデータの流通やサービスに関する事業を展開しており、データを社会のインフラにして持続可能な未来をともに創り続けることをパーパスに掲げている企業です。
約10年前からPOSレジを手掛けている東芝テックが紙のレシートを電子化するサービスを開発。電子レシートがスマホに届くアプリ「スマートレシート」を展開しています。「現在、スマートレシートの加盟店は約1万6000店舗、利用ユーザーが約180万人となっており、月間の購入金額に換算すると約100億円超のデータを安全にお預かりしています。個人情報や店舗が分からないように統計加工を行い、価値あるデータとして潜在的な購買トレンドの分析に役立ててもらうために、さまざまな民間企業や政府・自治体に活用の提案を行っています」(香川氏)
今回は、電子レシートの仕組みとデータを地域課題解決に活用する事例を紹介しました。例えば、大分県のスーパーチェーン「スーパー細川」様の社長から「地域の健康・食を預かる立場として、そこに資する取り組みをしたい」という発案を起点に実行した取り組みです。
「大分県が県内事業者のDXの取り組みを支援する『湧く沸くDXおおいた』の採択事業として、スマートレシートから得られる購買データを、他社の健康アプリに連携することで、購買に合わせた健康アドバイスを実施するという実証事業を、2022年12月から2023年2月にスーパー細川で3か月間行いました」(香川氏)
実証事業の狙いは、生活者視点で「IT活用で生活者の健康意識変化」、小売業様視点で「健康に資する小売への認識向上」「付加価値ある商品の販売で客単価増(売上拡大)」、自治体視点で「意識の変革で社会保障費抑制」「地域企業の活性化」のように、それぞれ異なっていましたが、成果としては「お客様も店舗・取引先も意識が変わった」とのことです。
「お客様からは健康関連食材の問い合わせや要望が増え、店舗や取引先では経営者の意識が変わり、健康関連食品の導入が増加しました。また、高額商品がよく売れるようになり、お客様の行動変容が起きたことに驚きの声も。データの利活用が健康を売る場づくりへと昇華しました」(香川氏)
最後に香川氏は、地域におけるスーパーの役割と期待について、次の3点を挙げました。
- 地域のデジタル化促進の現場…市民が日々のお買い物を通じてデジタルサービスを体験する場
- 地域ステークホルダーのハブ…市民・自治体・生産者・メーカーなどさまざまな関係者をつなぐ
- レシートは地域を表す貴重なデータ…(データには)市民生活が映し出されるため、取扱いに注意しつつ活用(現状把握)。行動変容のBefore After (効果検証)も大切
総合小売店チェーン(株式会社ラルズ様)の地域活性化事例
他業種の視点から地域活性化の事例発表や考察をメインとしたプログラムが続きましたが、ここからは実際に小売業様の取り組みについて知識を深めるパートに移行。札幌近郊をはじめとする北海道エリアで都市型中規模店舗や地域密着型スーパーマーケットなど74店舗を展開している、株式会社ラルズ 常務取締役・樋口裕晃氏が登壇しました。
ラルズ様は、北海道・東北地方・北関東においてスーパーマーケットなどの小売事業を展開するアークスグループの事業会社です。アークスグループ様はパーパスを「地域のライフラインとして価値ある商品・サービスを低価格で提供し、豊かな暮らしに貢献します」と定め、事業領域を食品流通に限らず日常生活に必要な商品やサービスに拡大し、人生のあらゆるシーンに対応できる企業を目指されています。
この理念に基づき、ラルズ様も「地域社会との共生」を重点課題に挙げて、多彩な取り組みを展開。今回のプログラムでは、約30種類にのぼる具体的な取り組みを紹介しました。なかでも、地域活性化との関連度がとくに高い取り組みをピックアップしました。
「生ごみ」堆肥化で食品ロス削減と地域貢献を両立
ラルズ様は2003年から食品残渣をばんけいリサイクルセンター様に委託し、堆肥化する取り組みを行っています。年間約2,500トンを処理し、製造された堆肥は同センターの契約農家や札幌市内の小中学校の教材園に提供されています。
生ゴミ処理に関しては地域ごとの処理が原則ですが、行政に申請のうえで、自社のパッカー車(ごみ収集車)を利用し、札幌市や近郊の店舗から生ゴミを石狩市のばんけいリサイクルセンターに一括して持ち込んでいるとのことです。それにより、食品リサイクル法に基づく再生利用率は小売業界の目標60%を大幅に上回る89.8%を達成されています。
地域社会の生活者が抱える課題と、食品ロス削減をつなげる
2023年3月から地域社会の課題解決や食品ロスの削減に貢献するために「フードドライブ」活動を開始。フードドライブとはお客様から寄せられた食品を持ち寄り、地域の支援団体に届ける慈善活動です。2024年2月末までに実施店舗は11店へ拡大。2023年3月から2024年2月末までに累計3208kgの食材を、食品を必要としているフードバンク等の生活困窮者支援団体、子ども食堂、福祉施設等に寄付されています。
中規模農家と店舗を結ぶ「やさいバス」
規模の小さい農家様とスーパーマーケットとの接点が少ない中、美味しい商品を販売したいという農家さんの願いから生まれた「やさいバス」は全国展開しています。ラルズ様では、やさいバスコーナーを設置し、農家様から集まった野菜を売り場で取り扱っています。現在、3店舗でこの取り組みを実施。旬の青果物の仕入れ販路の拡大にもつながっており、新鮮な野菜が届くことはお客様からも好評とのことです。
地域の連携を深める“食と健康“レシピコンテスト
北海道文教大学様、北海道味の素株式会社様との産学連携を通じて、地域の栄養課題の解決に取り組まれています。例えば、第3回目のコンテストでは、「野菜をもっと多くとろうよ!」や「おいしい減塩」をテーマに、約360名の学生がレシピを考案。ラルズ様と北海道味の素様による審査後、優秀作品の表彰式を行っています。ラルズ様のチラシ掲載や店舗での試食販売が行われ、地域の産学連携を深めながら、地域で暮らす生活者の皆様の健康に貢献しています。
店舗を「地域と生活者が抱える課題を接続させ、解決する場」として、さまざまな取り組みにチャレンジしているラルズ様。会場からは、「多種多様な取り組みに対して、コストをかけず、スタッフの負担を最小限に抑えるために、どのように新しい企画を採用し、実行されているのでしょうか?」「効果の測り方や取り組みを止めるときの判断はどうされているのですか?」などの質問がありました。
それに対し、樋口氏は次のように回答しました。「協力会社や団体の協力を得て取り組んでいるので、そこまで負担はありません。また、一度はじめた取り組みを途中で止めるとお客様や協力会社様、団体の皆様を困らせてしまうので、止めない覚悟でスタートしています。そのため、採用するまでに練りに練っているのと、1店舗単位で取り組んでみてから全店に広げるようにしています」
ラルズ様の地域活性化の取り組みは、地域コミュニティとの結びつきを強め、豊かな地域社会を築く一助となっています。会場からも、今後もラルズ様が地域のニーズに応える新たな取り組みを模索し、地域活性化への貢献に期待する感想が多く寄せられました。
小売業様の地域活性化の取り組み紹介と意見交換
ディスカッションのパートでは、DX推進アドバイザー佐藤氏がファシリテーターを務め、参加されていた小売業様の地域活性化の取り組みの紹介と、意見交換が行われました。ラルズ様と同じように、事業を展開する地域の特色を生かしたり、地域の課題を汲み取ったりと、独自性のある取り組みを推進されている企業様が多く、参加している皆様の関心も高かったようです。こちらのパートでは、紹介された取り組みと、各社様の意見の一部をまとめています。
資源の再利用からスポーツチームへの支援まで、地域密着の取り組みを展開
ラルズ様の取り組みの一つとしても紹介されていましたが、ご参加の企業様数社もフードドライブを実施しているとのこと。例えば、A社様は、「貧困問題と食品ロス削減に向けて、店舗にポストを設置し、フードドライブをはじめました。地域の連携を通じて、取り組みを拡大したいです」と抱負を語りました。
また、B社様は、「1都3県でフードドライブの活動を実施しています」と説明。これまで多数の食料品を預かり、フードバンク団体を通して支援を求めている子育て家庭や福祉施設などへ届けてきたと言います。
また、小売企業様の具体的な取り組みとして、比較的多く紹介されていたのは、再利用に関する取り組みです。C社様は、惣菜部門から出る使用済み食料油を回収し、専門業者に委託して、バイオディーゼル燃料に加工していると話します。配送トラックの燃料に使用する計画を推進しているとのこと。そのほか、食物残渣を回収し、肥料にしたのち、地元の高校とコラボして花畑をつくったり、地元の生産者に渡して米作りに活用してもらったりと、地域における資源循環を実現していると話します。
また、D社様は、工場から出た食品廃棄物ゴミを食品リサイクル工場に運搬。畑で使用する堆肥や家畜のえさとなる飼料を生産し、再利用しています。同社のご出席者は「契約農家の皆様に堆肥を卸し、育った野菜を当社のスーパーで販売するという取り組みを、長く継続しています」と説明しました。
資源の再利用は環境負荷の軽減や社会的貢献につながることから、地域活性化と無縁ではありません。食品を扱う小売業様にとって外せない取り組みといえるでしょう。
さらに、地域に根差した小売業様ならではの取り組みとして、スポーツチームの応援やコラボする事例も紹介されました。
E社様は、同じ町をホームタウンとするプロバスケットボールチームを応援。同社のご出席者は「オフィシャルパートナーとして選手たちに水を無償で提供しています。逆にプロバスケットボールチーム側は試合会場で販売する飲料を当社で購入していただいており、売上にもつながっています」と話します。
F社様も、プロバスケットボールチームとコラボレーション。選手と一緒にさまざまな食材や惣菜でつくるコラボ弁当を企画。数量限定販売したところ、予想を上回る反響だったといいます。同社のご出席者は「体育館の最寄り駅からバスに乗って試合会場に向かうお客様にも人気で、試合の日には用意した400パックが飛ぶように売れました」と反響を振り返ります。この成功を受けて、第2弾のコラボ弁当も計画しているとのことです。
各社の取り組みに対して、とある企業様は「私たち小売業を営む企業は店舗を通して、生活者であるお客様に最も近い位置にいます。地域社会や地球市民として、小売業にはさらに多くのことが求められていると、多くの気づきがありました」と率直な感想を共有。参加企業の多種多様な取り組みやアイデアに感銘を受けたと話しました。
第1回推進協議会に関する報告
第1回目の推進協議会を受けて、小売業の課題を解決に導く心強いパートナーとなるソリューション提供企業のくふうジオデータより、生活者の声をリアルに反映したアンケートに関して報告がありました。くふうジオデータは、位置情報テクノロジーを活用し、デジタルとリアルの世界をシームレスにつなげることをビジョンに掲げている企業で、協会の加盟団体でもあります。
くふうジオデータの代表取締役・中﨑吉記氏は、第1回目のプログラムに登壇し、生活者情報をマーケティングに活用する重要性について講演しました。参加企業からの反響や意見を受けて、小売業様が関心を寄せる「生活者のリアルな声」を取得し、買い物意向や課題を可視化する取り組みとして、生活者アンケートを実施。今回、結果を報告する流れとなりました。
また、推進協議会では、参加企業や加盟団体の皆様が主体となって課題や注力領域を深堀りする分科会の設置を進めています。今後、分科会では深堀りした結果を報告、共有する機会を設ける予定です。今回は、分科会の方向性や取り組むことについて、DX推進アドバイザーの佐藤健一氏より報告がありました。
生活者アンケートの報告
第1回目の協議会でのフィードバックをもとに、小売業様のお客様である生活者の買い物行動を把握するため、くふうジオデータはチラシ・買物情報サービス「トクバイ」のユーザーを対象に、2024年3月1日から3月7日にかけて「日々のお買い物に関するアンケート調査」を実施しました。
今回のアンケートはテーマを「物価高」「惣菜」「冷凍食品」の3つに絞り、結果としては2,940人(女性71%、男性27%、約8割は40代から60代)から回答を取得できました。中﨑氏より、アンケート結果をもとに生活者の買い物行動に関する考察が発表されました。
まず、「物価高」に関しては、「物価高を痛感していますか?」という質問に対し、回答者の98%が物価高を実感していることが判明。10歳から24歳までは物価高に対する実感が若干低いものの、60歳以上は物価高を実感している割合が非常に多く、65歳から69歳の年代では100%でした。
なお、物価高を感じている食品の上位4品目は「卵」「牛乳」「パン」「油」で、下位4品目は「魚加工品」「米」「惣菜類」「鶏肉」という結果になりました。物価高で購入頻度が下がったと感じている食品の上位4品目は「インスタント食品」「卵」「菓子類」「レトルト食品」であるのに対し、物価高で購入頻度が上がったと感じている上位4品目は「鶏肉」「野菜」「冷凍食品」「豚肉」でした。
中﨑氏は消費者物価指数との相関を指摘し、「野菜や肉類などの特定の商品カテゴリーに関して物価高の影響を感じ、それによって購買行動に変化が生じていることが予想されます。物価が上がっていない商品にシフトする傾向が見られることから、生活者が価格変動に敏感であり、コスト意識が高いことが考えられます」と生活者の購買行動は物価の動向に影響を受けていると推測できるといいます。
「惣菜」については、購入頻度や購入意向、力を入れてほしい惣菜などについて調査。購入頻度の上位は全世代で「ほしいものがあった時は買う(32.9%)」「週2回から3回(24%)」「週1回(18%)」となりました。また、同居家族に人数が多い、中学生以上の子育て世代の購入が多いこともわかりました。
購入意向は全世代で「コロッケ」「唐揚げ」「お寿司」が上位となり、力を入れて欲しいと思う惣菜に関しては「唐揚げ」が最上位で、次いで「お寿司」「コロッケ」「弁当」となりました。また、20代から40代は「ピザ」「パスタ」の購入意向も高いとのことです。
最後に「冷凍食品」に関しては、購入意向を調査したところ、全世代では冷凍食品の購入は23%増えていることがわかりました。特に55歳以上で冷凍食品の購入を増やしたという回答が増加している一方で、40代では冷凍食品の購入が減っています。世代によって冷凍食品の買い物動向に違いがあることから、中﨑氏は「冷凍食品の品目やカテゴリーで深堀した調査を行う余地があると思います。また、世代やエリアの傾向について再度アンケート調査を検討したいです」と話しました。
中﨑氏の発表と考察を踏まえて、小売業様からは「惣菜に関して時間帯を切り口にした調査もお願いしたい」「冷凍食品の台頭次第ではスーパーマーケットの売り場づくりが変わってくるので細かく分析してほしい」など、今後のアンケート調査への期待を感じるフィードバックが多数寄せられました。
新たに設置する「分科会」に関するお知らせ
続いて、DX推進アドバイザーの佐藤氏から分科会についてアナウンスがありました。佐藤氏は「アンケート調査の話は盛り上がる一方、その場限り(の学び)で終わってしまうことが多いです。効果的にアンケート(生活者の声)を活用するためには、通常の業務プロセスにアンケート(生活者の声)を組み込む事が重要。その効果を可視化するために、推進協議会では小売アンケートをもとに注力するべき領域を定め、深堀りをする分科会を設置することになりました」と説明します。
第1回目の小売アンケートで可視化された課題と注力領域に基づいて、注力カテゴリーを「惣菜」「冷凍食品」に設定。さらに課題に関しては「お客様が他業種に取られている」「お客様への事前コミュニケーション強化/商圏拡大」「地域活性化/地域貢献」に絞り、合計5つの分科会を設置することになりました。
例えば、惣菜であれば「お客様の買い物行動の可視化(現状把握)」「買い物行動変容に繋がる生活者へのコミュニケーション分析(需要創造)」などを分科会の会議で実施。実店舗における店舗検証(PoC)も行う予定で、これらの結果を推進協議会で報告する流れとなります。
今後、本格化する分科会の活動について、参加する小売業様からも「分科会を通して明確な策を講じられるようになる」「仮説とアクションのスピード感が出てくれば非常に有効」と前向きなコメントも出ました。
~第2回 推進協議会を終えて~
講演や座学だけではなく、ご参加の皆様との対話が増え、さらに双方向的な取り組みがスタートする起点となった第2回推進協議会。小売業様が直面している複雑な課題への深い理解を深めるとともに、推進協議会で得られた知見と提案を基に、次の一歩を踏み出す準備が整いました。これから分科会もスタートすることから、さらに深いディスカッションや提案を基に、具体的な行動計画を立て、実行に移すことになります。今後もこうした活動を通して、ご参加の皆様との協力や連携を礎に、スーパーマーケットの未来を共創していきます。
次回は、2024年6月の開催を予定しています。多くの小売業の皆様、ソリューション企業様のFuture Store “NOW”ご参画をお待ちしております。
参加企業/参加者
小売企業様
- 株式会社ウジエスーパー 様
- 株式会社エムアイフードスタイル 様
- 株式会社G&Lマート 様
- 株式会社東武ストア 様
- 株式会社大創産業 様
- 株式会社ベルジョイス 様
- 株式会社ラルズ 様
- ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社 様
スポンサー企業様
- ゼネリックソリューション株式会社 様
- ピープルソフトウェア株式会社 様
- 楽天ペイメント株式会社 様
- 株式会社くふうジオデータ 様
オブザーバー参加企業様
- アスピランツ株式会社 様
- 株式会社ソトコト・ネットワーク 様
- 東芝データ株式会社 様
- 日鉄ソリューションズ株式会社 様
- 日本テラデータ株式会社 様
- レンゴー株式会社 様
- 登壇者:
- ファシリテーター:
- 主催:
- FSN運営事務局:
-
株式会社三百 代表取締役社長 望月 雅之 様東芝データ株式会社 営業部 フェロー 香川 弘一 様株式会社ラルズ 常務取締役 販売統括部 店舗運営部
ゼネラルマネジャー 樋口 裕晃 様株式会社くふうジオデータ 代表取締役 中﨑 吉記 様 - DX推進アドバイザー 佐藤 健一氏
- 一般社団法人全国スーパーマーケット協会
- 株式会社博報堂プロダクツ
資料をダウンロードされたい方、
当日の動画をご覧になりたい方は
是非Future Store “NOW”にご参加ください。
CONTACT
(博報堂プロダクツ内)